盗聴は犯罪である、というイメージを持っている方は多いのではないでしょうか?
盗み聞きするのが合法なはずはない! と思われている方も多いのでは?
ですが、実は盗聴は犯罪ではありません。
盗聴自体は合法であるケースも多いのです。
普通に生活をしている方は自分が盗聴されているなんて思ってもみないのではないでしょうか。
しかし近年、盗聴器の販売個数はまだまだ増加傾向にあり、年間40万個が市場に出回ると言われています。
購入もインターネットなどでごくごく簡単に可能。盗聴は実は身近なものなのです。
冒頭で、盗聴行為自体は合法なケースも多いと触れましたが、逆に言えば違法になるケースも存在します。
今回はどういった盗聴が合法で、どういった盗聴は法を犯すことになるのか、を解説していきます。
盗聴の被害から身を守る一助になれば幸いです。
盗聴は犯罪行為になる?
盗聴器を販売すること、購入することは、違法ではありません。また、盗聴器を設置することも自宅などであれば問題はありません。
たとえば、配偶者が自宅で浮気していることを察知し、証拠をつかむために自宅に盗聴器を仕掛けたとします。この場合の盗聴は合法です。
一般的に思い浮かびやすい「盗聴器」と呼ばれるものは、無線の子機であるものが多いです。
そこから送られた音声を親機で聞き取ることで盗聴が成立するのですが、発信された音声は、盗聴器を仕掛けた本人以外の受信機でも聞き取ることができます。
そして、第三者が盗聴器の子機から発信された音声を聞き取る行為も違法ではありません。
アマチュア無線部、という部活などもありますよね。無線式の盗聴器はこれと仕組みが同じです。
無線で、電波を傍受する、という行為は趣味として認められているものであり、それ自体では犯罪行為にならないのです。
どんな行為を行うと犯罪になる?
ただし、犯罪になる盗聴もあります。盗聴が犯罪になるケースは、主に5つあります。
盗聴器を仕掛ける際に、他人の敷地に侵入した場合、当然犯罪になります。
住居侵入罪や、建造物侵入罪に問われます。私有地に入ってはいけない、これは当たり前のことですね。
盗聴器を仕掛ける際に、他人のものや公共物などを意図して破損した場合は、罪に問われます。器物損壊罪にあたります。
電話回線に盗聴器を仕掛けると、有線電気通信法違反になり、罪に問われます。
有線電気通信法では、有線電気通信における秘密を侵してはならない、と定められているためです。
また、電話回線に盗聴器が仕掛けられているケースでは、盗聴器を自力で除去しようとすることはおすすめできません。
万一回線に何らかの損傷を与えてしまうと、こちらも同様に有線電気通信法の取締対象となります。
盗聴器を発見したら、自分でどうにかしようとせず、警察などに相談しましょう。
証拠の保全、電話回線にしかけられた盗聴器の除去などをきちんと手配してもらえます。
盗聴で得た情報を第三者に漏らしたり、インターネットにアップしたりすることは、電波法違反に当たります。 情報を第三者に漏らすこと、広めることで、当事者は多大な不利益を被る可能性がある、という点に留意する必要があるでしょう。
取得した情報を使って対象者を脅すことは重大な犯罪です。
脅迫罪・強要罪・恐喝罪などに問われる可能性があります。
現代において、個人情報は十分な価値を持ちますし、企業の内部情報などは言うまでもありません。 犯罪になってしまうというハードルを乗り越えて、金品を要求するなどの脅しをかけてくる者もいないとは限りません。
盗聴されている疑いがある場合は放置しないほうが良いですし、もし脅された場合は速やかに警察に相談しましょう。
ちょっとしたことから誰でも被害者、加害者になってしまう
盗聴それ自体は違法ではありませんが、盗聴の方法によっては罪に問われる可能性がある、ということをお分かりいただけたかと思います。
刑事罰を受けるのみならず、プライバシー権の侵害などで民事で訴えられる可能性もあることを留意しておく必要があるでしょう。
たとえば、恋人の浮気が心配で、恋人の車の中に盗聴器を仕掛けたとします。
ちょっとした出来心であったとしても、プライバシーの侵害で訴えられてしまう可能性はあるのです。
恋人や家族など、親しい人の間で、こうしたことは起こりがちです。
ちょっとくらいいいだろう、という甘い判断が、刑事罰や民事訴訟に至ってしまうのです。
場合によってはストーカーとみなされ、ストーカー規制法が適用される可能性もあります。相手のことが好きだから、は言い訳にはなりません。
相手と自分は違う人間であり、プライバシーは尊重されるべきなのです。
自分が被害者にも加害者にならないためにも、どういった盗聴が犯罪とみなされるのかについて知っておいたほうが賢明でしょう。