強要罪については、刑法の第223条で次のように定められています。
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、
又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
(引用元:電子政府の総合窓口 e-Gov)
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知 するという行為が、まず脅迫罪という犯罪に当たります。
さらに「又は暴行を用いて」とありますが、これについても暴行罪という犯罪が存在します。
つまり、強要罪が成立する状況というのは、脅迫か暴行、又はその両方の犯罪行為が既に行われている状態です。
相手を脅迫や暴行で脅したうえで、義務の無いことを無理やりやらせたり、本来やっていいはずのことをやらせないようにすると、強要罪となります。
強要罪が成立するということは、犯罪行為を少なくとも2つ重ねたことになるのです。
そのため、強要罪に科せられる罰は脅迫罪や暴行罪などよりも重いものになっています。
犯罪に対する刑罰として「○○年以下の懲役又は○○円以下の罰金」というフレーズをよく目にすると思いますが、強要罪にはこの「○○円以下の罰金」が定められていません。
つまり、この犯罪を行った者を罰するための選択肢は、罰金刑よりも重い懲役刑しか用意されていない、ということです。
また、刑法第223条の2項には次のような記述があります。
親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
(引用元:電子政府の総合窓口 e-Gov)
これは、脅迫を用いて強要する際に、相手の親族に対して害を与えるという脅しをし、相手に強要行為を行った場合も、強要罪として同様に3年以下の懲役が科されるということです。
例えば、
- 「会社でお前の悪い噂を流されたくなければ、ここで土下座しろ」と脅して相手に土下座させた
- 「学校でお前の娘の悪い噂を流されたくなければ、ここで土下座しろ」と脅して相手に土下座させた
この2つは、脅迫の対象が相手本人か相手の娘か、という違いがありますが、どちらも強要罪として3年以下の懲役が科される行為になります。
また、強要しても相手(被害者)がその強要内容に従わず、未遂に終わった場合でも、強要未遂罪として同様に罰せられます。
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