「暴行」というのは、人の身体に対し不法に有形力を行使することを言います。
「有形力を行使する」とは、物理的な力を加えるということです。
わかりやすい例としては、殴る、叩く、蹴る、というような行為がこれに当たります。
これらの行為は、ほとんどの方が「暴行罪」と聞いて一番最初に思い浮かぶ行為でしょう。
しかし、これ以外にも、暴行に該当する行為はたくさんあります。
例えば
- 相手の髪の毛を強く掴む
- 相手の髪を無理やり切る
- 相手の胸ぐらを掴む
- 相手の身につけている衣服などを強く引っ張る
- 相手に水をかける
- 人にぶつけるつもりで物を投げる
など
行為者が相手の身体に直接触れていなくても、相手の身体に何らかの害を及ぼす行為を故意に行えば「暴行」となります。
故意に行うというのは、「これは暴行に当たるかもしれない」というふうに、自分の行為に違法性があることを認識したうえでその行為を実行するということです。
そして暴行罪については、刑法第208条で次のように定められています。
“暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。”
つまり、上記で紹介したような暴行をおこない、その結果相手が怪我などの傷害を負うに至らなかった場合に、暴行罪として裁かれるのです。
逆に言えば、暴行の結果相手が何らかの傷害を負った場合は、暴行罪よりも重い「傷害罪」などになります。 |